仕事が予定どおり進まない。締め切りが近づくと、つい「もっと早く作業しよう」「残業して終わらせよう」と考える。
けれど、遅れの原因が、作業量の見積もりなのか、途中の確認待ちなのか、依頼の条件が曖昧なことなのかで、取るべき手は変わる。急いで解決策を選ぶ前に、何が起きているかを確かめたい。
問題解決は、答えを出すことだけではない。何を解くべきかを、状況に合わせて見立てるところから始まる。
「困っていること」と「解く問い」を分ける
「仕事が遅れている」は、困っている状況を表している。そこからすぐ「人を増やそう」「効率化ツールを入れよう」と進むと、まだ確かめていない原因に対して手を打つことになる。
まず、見えている事実と、推測を分ける。
たとえば、チームの資料作成が予定より遅れているとする。依頼の件数は増えたのか。修正の往復が多いのか。確認する人が決まっていないのか。どれも可能性で、記録を見たり関係者に聞いたりするまでは仮説にすぎない。
問いは、「どうすれば効率化できるか」だけではなく、「どの工程で時間がかかっているか」「手戻りはどこから生まれているか」と置き直せる。
大きな問題を、確かめられる単位にする
問題が大きく曖昧なままだと、対策も抽象的になりやすい。「売上を伸ばす」なら、客数、購入頻度、単価などに分けて考えられる。「会議を短くする」なら、議題の数、決定に必要な情報、参加者の役割を見直せる。
分解は、原因を決めつけるためではない。次に何を観察すればよいかを見つけるために行う。
一度にすべてを調べなくてもいい。手元にある記録を確認する、当事者に短く聞く、一つの変更を試す。小さな確認を重ねると、思い込みと実際の状況を区別しやすくなる。
問いは、仮説と一緒に更新する
最初に立てた問いが、最後まで正しいとは限らない。調べた結果、別のところに詰まりが見つかることもある。
たとえば、作業時間が長いと思っていたが、実際には承認を待つ時間が大半だったと分かる。そうなれば、作業の速さではなく、確認の順番や担当を見直すほうが役立つかもしれない。
仮説は、行動を始めるための仮置きだ。外れたときは、自分を責めるより問いを更新する。問題設定と解決策を行き来してよい。
次の一手を、小さく試す
問いが見えてきたら、すぐ大きな仕組みを変える前に、小さく試せる方法を探す。
確認待ちが長いなら、次の案件だけ担当者と返答期限を明記してみる。依頼の条件が曖昧なら、着手前に完成イメージを一度すり合わせる。試した後は、何が変わったかを見て、続けるか調整するか決める。
試すことが難しい場合は、その理由も情報になる。権限が足りないのか、関係者との合意が必要なのか。自分だけで解決しようとせず、相談する相手や必要な決定を確認する。
正しい問いを、一度で当てなくていい
問いを立てる力は、いつも最初から核心を言い当てる能力ではない。目の前の状況を分け、仮説を確かめ、必要なら考え直す進め方のことだ。
行き詰まったときは、解決策を増やす前に、三つを確認してみる。
- いま分かっている事実は何か
- まだ推測のままのことは何か
- 次に確かめられる一番小さなことは何か
答えを急がず、問いと行動を往復する。その手順が、遠回りに見えて、状況に合う解決へつながることがある。
