「男って、なんでこうなの」 「女心がわからない」
人類の永遠のテーマである、男女の分かり合えなさ。性格の不一致で片付けられがちだが、もっと根深い場所に原因がある。
種の生存戦略──つまりプログラムそのものが、男女で違っている。
人間の脳は、サバンナで暮らしていた頃から基本的なOSが変わっていない。進化心理学のレンズで見ると、男女の「違い」は残酷なほど合理的にできている。
なぜ男は「若さ」を、女は「資源」を求めるのか
マッチングアプリのデータを眺めるだけでも、男女がパートナーに求める条件には明確な傾向が出る。
男の戦略──ばら撒き型
男は理論上、ほぼ無限に子孫を残せる。だが妊娠・出産するのは女性のほう。そのため男の本能は、「生殖能力の高い(若く健康な)相手」を視覚的に探知するよう設計されている。
男が若さや体のラインに反応するのは、軽薄だからではない。遺伝子を残す確率を上げるための、古いプログラムの出力になる。
女の戦略──厳選型
女性は一生に産める子供の数が限られ、妊娠・授乳の期間は大きなリスクを負う。だから女性の本能は、「自分と子供を守り、育てる資源(食料・金・地位)を持つ相手」を慎重に審査する。
女性が経済力や社会的地位を重視するのは、打算ではない。子供を確実に生き延びさせるための、合理的な戦略になる。
嫉妬のポイントが、男女で違う
「浮気」への怒りの焦点も、きれいに分かれる。
- 男の嫉妬は、身体に向かう。 パートナーが他の男と関係を持つことに強い嫌悪を抱く。「自分の遺伝子ではない子供を育てさせられるリスク」を避けるための本能になる
- 女の嫉妬は、感情に向かう。 パートナーの心が他の女に移ることに強い恐怖を抱く。「資源の供給が他へ流れるリスク」を避けるための本能になる
「体だけなら」と考える男と、「心を取られるくらいなら」と考える女。すれ違いの座標は、最初からずれている。
会話の目的が違う
- 男の会話は、レポート。 情報の伝達と問題解決が目的になる。狩りの連携のために発達したツールだから、オチのない話に耐えられない
- 女の会話は、ラポール。 感情の共有と関係構築が目的になる。集落の協調のために発達したツールだから、解決策ではなく共感が正解になる
彼女の愚痴にアドバイスを返して空気が凍る。あの定番の事故は、二つの通信規格の違いから起きている。
違うからこそ、補い合えた
「男は単純」「女は複雑」と切り捨てるのは簡単だが、この違いがあったからこそ、人類は過酷な環境を生き延びてきた。
本能レベルの「OSの違い」を知っておくだけで、パートナーへの苛立ちは驚くほど減る。「ああ、いま進化のプログラムが作動しているな」と一歩引いて眺められるから。
違う生き物同士が、それでも分かり合おうとする。
その不器用な努力の側にこそ、人間らしい愛と呼べるものがあるのかもしれない。
