「日本の借金が過去最高」というニュースに不安になる人がいる。 「日本の借金は国民からの借金だから大丈夫」という解説に安心する人もいる。
結局、どちらなのか。
感情論を排した客観的な通知表が一つある。格付け機関による国債の格付けになる。
そして驚くべきことに、経済大国であるはずの日本の格付けは、G7の中でイタリアに次いで低い水準に置かれている。最高評価(AAA)には、もう長いこと手が届いていない。
日本の通知表──なぜ「A」止まりなのか
ムーディーズやS&Pといった格付け機関による日本の評価は「A」ランク。投資適格ではあるが、アメリカ、ドイツ、イギリスといった国々には明確に見劣りする。
理由は大きく三つになる。
一、世界一の借金(対GDP比)
日本の政府債務残高は対GDP比で約260%。先進国で断トツのワースト1位になる。
年収500万円の家庭が、1300万円の借金を抱えている状態。普通なら破綻しているが、超低金利政策のおかげで利息を払い続けてこられた。
二、財政再建の見通しが立たない
「いつか黒字にします」という政府目標(プライマリーバランス黒字化)は、何度も先送りされてきた。増税の延期と、止まらない歳出拡大。
格付け機関が見ているのは数字だけではない。「この国には借金を本気で減らす意志があるのか」というガバナンスへの疑念が、評価を押し下げている。
三、少子高齢化という時限装置
借金を返すには、働く人間が要る。だが日本は世界最速で少子高齢化が進む。
稼ぎ手は減り、養うべき人と医療費は増え続ける。この構造が変わらない限り、返済のロードマップそのものが描けない。
なぜ今まで破綻しなかったのか
「では、なぜ破綻しないのか」。日本には三つの盾があった。
- 国内消化。 国債の9割近くを国内の銀行、保険会社、日銀が保有している。「身内」が持っているため、急に売り浴びせられるリスクが低かった
- 日銀の緩和。 日銀が国債を大量に買い支え、金利を人為的に低く抑え込んできた
- 対外純資産。 日本は海外に巨額の資産を持つ。これが「まだ大丈夫」という信用の担保になってきた
問題は、この前提が崩れ始めていることのほう。
「金利のある世界」で起きること
インフレを受けて、日銀は低金利政策の修正を迫られた。金利が戻ってくると、何が起きるか。
- 国の利払い費が膨張する。 借金が巨大なため、金利1%の上昇で支払いは数兆円単位で増える。教育や福祉に回る金が圧迫される
- 円安とインフレが進む。 財政への信認が揺らげば円が売られ、輸入物価がさらに上がる
- 住宅ローンが重くなる。 変動金利で借りている家庭の返済額が増えていく
国債の格付けは、遠い金融の話ではない。家計の足元に直結している。
まとめ──自分の資産は自分で守る時代
「国がなんとかしてくれる」という時代は、静かに終わっている。
日本国債の格付け問題が警告しているのは、円という単一資産に人生を預けるリスクになる。
- 稼ぐ力を磨く。人的資本は最強のインフレヘッジになる
- 資産の一部を外貨や株式に分散する
- インフレに強い資産を持つ
船が沈むと決まったわけではない。ただ、救命ボートの場所を確認しておくのに、早すぎるということもない。
悲観ではなく、準備の話として。
