20代は、ロケットの発射台に立っている状態にある。
どの方向(職種・業界)に、どの角度(環境・基準)で飛び出すか。それが30代、40代で到達できる高度を決めていく。
発射角度がわずか1度ずれただけで、月に向かうはずの軌道は大きく外れる。「とりあえず有名な会社へ」「なんとなく楽そうな環境へ」という初期設定の代償は、ずっと後になってから請求される。
環境が人を創る、は精神論ではない
周囲が当たり前に成果を出す環境にいれば、自分の「当たり前」の基準も引き上げられる。成長意欲のない環境にいれば、市場価値も静かに停滞する。
これまで隣で見てきた範囲でも、数年後に大きく差がついた二人の違いは、能力ではなく最初にいた場所の基準だったというケースがほとんどになる。
20代の脳は可塑性が高く、良くも悪くも環境を吸収する。この時期にビジネスの基礎体力とプロ意識をどこまで高められるかが、後年のキャリアのレバレッジを決める。
職場環境を見極める三つの条件
給与や知名度だけで選ぶと、たいてい後悔する。見るべきは別の三つになる。
一、自分の特性との適合
苦手の克服より、得意を伸ばすほうが圧倒的に速い。
論理的思考が得意なのか、対人交渉が得意なのか。時間を忘れて没頭できる領域はどこか。自分の「タグ」が見つかる環境かどうかを最初に見る。
二、圧倒的な成長機会
質の高いフィードバックをくれる上司やメンターがいるか。自分で意思決定し、失敗から学べる裁量があるか。
「教えてもらう」姿勢の人間より、「盗んでやる」という気概で挑める環境にいる人間のほうが、数年で別人になっていく。
三、ロールモデルの存在
「10年後、こうなりたい」と思える先輩や上司がいるか。
職場に尊敬できる人間が一人もいないなら、それは危険信号になる。人は、自分が日常的に見ている背中以上の存在には、なかなかなれない。
軌道修正は、いつでもできる
「最初の選択を間違えたかもしれない」と気づいたなら、それ自体は問題ではない。ロケットには軌道修正の機能がついている。
重要なのは、違和感に気づいたら素早く修正すること。
- 「せっかく入社したから」というサンクコストで残留しない
- 撤退は逃げではなく、より高く飛ぶための場所変えと考える
間違った角度のまま飛び続けることだけが、取り返しのつかない選択になる。
人間関係という、もう一つの資産
20代で築いた人間関係は、後から買い直せない資産になる。
互いに刺激し合える同期。視座を引き上げてくれる師匠。「朱に交われば赤くなる」という言葉は、ネガティブにもポジティブにも、正確に機能する。
付き合う人を変えることは、環境を変えることと同義になる。
まとめ──一番高く飛べる発射台を選ぶ
20代の時間は、金では買い戻せない資源になる。
それを安易な「安定」や「楽」と交換するのは、最も高くつく取引といえる。多少のリスクと負荷があっても、自分が一番高く飛べる発射台を選んだほうがいい。
発射のボタンを押せるのは、台の上に立っている本人だけ。
そして燃料が満タンなのは、人生でも今だけになる。
